AIエージェント

AIエージェント

【タイトル】

『AIエージェント』城田真琴,日本経済新聞出版,2025

【テーマ】

指示を待つだけの生成AIから、自ら考えて動く「AIエージェント」に進化することで、ビジネスや働き方、キャリアにどんな変化がもたらされるのかを平易な言葉で解説する

【なぜこの本を読んだか】

夫と仕事の話をしているときに、AIエージェントの話題になった。自ら判断して動くAIのことらしい、というぼんやりしたイメージは持てたものの、生成AIとどう違うのかがはっきりしないままだった。わたし自身が業務で使う機会はあまりないかもしれないけれど、生活や仕事にどう生かせるのか、どんなメリットやデメリットがあるのかを自分なりに考えてみたくて、入門書として本書を選んだ。

【学んだこと】

  • AIエージェントの動作は「観測・計画・実行・評価」という、人間が問題を解決するプロセスとよく似た4つのステップのループで説明できること
  • 従来のAIが問いに答える「問答型」なのに対し、AIエージェントは目標を与えられると自ら手段を考え、複数のシステムを連携させながら継続的に行動する「自律的な働き手」であること
  • 主要なビジネスツールがAPIを公開し、2024年にMCPという標準規格が登場したことで、AIエージェントの実用性が格段に向上したこと
  • 企業が特定の職務のために導入する「専門職AI」と、個人の思考の癖や仕事のスタイルを学んで公私を支える「デジタル執事」は別のものであり、後者は2030年ごろまでに実現すると見込まれていること
  • 成功している企業ほど試行錯誤を重ねて導入・運用方法を見つけており、最初から能力を過信しないことが肝要であること
  • AIが自律的に動く時代には、責任・思考・格差・プライバシー・信頼という5つの問いが立ち上がること
  • 「AIが決めた」は言い訳にならず、人間は司令官として、そう判断させたのは自分だという覚悟を持つ必要があること
  • 危険性はツールそのものではなく人間が陥りがちな受動的な姿勢にあり、丸投げではなく「人間が核を創る→AIに壁打ちさせる→人間が統合し決定する」という協働のワークフローを設計することが求められること
  • これから重要になるのはプロンプトを書く力ではなく、そもそもAIに何を解かせるべきかという問いを立てる力であること

【視点の変化】

  • 読む前はAIエージェントを自分の仕事とは遠いものとして見ていたが、本書をきっかけに業務を洗い出して課題を見つけ、AIと壁打ちをして新しいシステムやサービスを考え、導入・運用まで行うようになった。エージェントを活用しているわけではないけれど、生成AIの使い方そのものが大きく変わった気がする
  • エージェント機能も試しに使ってみるようになった。まだまだ手探りではあるけれど、失敗を恐れずにチャレンジを重ねて、自分なりに使いこなせるようになりたい

【感想】

AIエージェントについて漠然としたイメージしかなかったけれど、仕組みから活用法、そこに伴う問いまでひと通り知ることができ、入門書として読んでよかったなと思う。特にAIとどう向き合うかという5つの問いは、それぞれが自分ごととして考えさせられるものだった。

なかでも一番印象的だったのは、格差の話だ。本書では、格差による分断に立ち向かうために、個人・組織・社会の3つのレベルで取り組む必要があると整理されていた。個人はスキルを磨き、組織は公平な機会を提供し、社会は公共インフラとして整備していく。理屈としてはよくわかるし、そうあってほしいと思う。

ただ、わたしの周りをみわたしてみるとその道のりは険しく遠いと思えてならない。AIそのものを拒絶する人もいれば、楽しさや便利さに夢中になるあまり誰かの権利を侵害してしまう人もいる。かと思えば、上手に使いこなして仕事や暮らしに活かしている人もいて、その差はあまりに大きい。みんなが同じようにリテラシーを身につけて、最新技術と上手に付き合っていける未来は、まだまだ先の話だろう。

「知らない」や「わからない」が多ければ多いほど、不安や恐れはどんどん大きくなる。だからこそ、まずは知ることからはじめたい。先入観をゼロにはできなくても、なるべくたくさん捨てて、さまざまな人のさまざまな意見に耳を傾け、学ぶ。自分なりの指針を定めて行動し、見直し、よりよくする。そこで得たもの、考えたことを周りの人たちと共有する。大きな流れは生み出せなくとも、小さな積み重ねを続けていくことならわたしにもできる。そんなふうに、できることから少しずつやっていこうと思う。

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