小泉悠が護憲派と語り合う安全保障 「日本国憲法体制」を守りたい

小泉悠が護憲派と語り合う安全保障 「日本国憲法体制」を守りたい

【タイトル】

『小泉悠が護憲派と語り合う安全保障 「日本国憲法体制」を守りたい』小泉悠,かもがわ出版,2025

【テーマ】

立場の違いを超え、お互いを尊重して対話することによる、現実的な日本の安全保障と日本国憲法の理念を守る道の模索

【なぜこの本を読んだか】

  • 『現代戦争論』で小泉さんの本をはじめて読み安全保障についての考え方が近いなと感じたから
  • SNSなどで分断を目にするたびに、お互いの意見を聞き合う雰囲気がないことに疑問を感じていたから
  • 安全保障について考えるときに、国民同士が対立し決裂したままでいいのか?賛成か反対かを言い合っている場合ではないのでは?というモヤモヤを解消したくて手に取った

【学んだこと】

  • 専守防衛を国家の哲学とするならその範囲でDIME1について具体的に考え議論するべきだということ 
  • 日本は軍事大国ではないからこそ大国の暴力性に対しては一律に批判的であるべきということ 
  • 軍事的な必要性だけで判断するのではなく安全保障や国家のあり方について日本国民全体でしっかり話し合うべきだということ

【視点の変化】

  • 武器の必要性と、武器不要の平和な世界への願いというジレンマを無理に解消しようとせず、わからなさや複雑さを抱えたまま、異なる意見を持つ人と一緒に考えていく姿勢が大事だと思うようになった
  • 日本が直接手を出さず軍事的な部分をアメリカに任せる現在の安全保障体制は、本当の意味で戦争を放棄したことにはならないのではないかと考えるようになった

【感想】

一番印象的だったのは、憲法の一部を改正すべきと考える著者と、護憲派の方々がとても落ち着いた穏やかな雰囲気で議論されていたこと。憲法や安全保障についての考え方は、国民の間でもさまざまで対立することが多い。SNSなどインターネット空間では、ネトウヨやお花畑という言葉を使ってお互いを攻撃し合うシーンをよく見かける。しかし、大事なのは異なる意見を持つ者同士が、おおまかな合意点を見つけるために、とことん話し合うことなのではないだろうか。著者自身が「軍事力で自国の意見を通さないという意味では自分も護憲論者だ」と語るように、一見対立する立場でも平和を望む思いは重なっている部分があるはずだ。だからこそ、攻撃するのではなく、お互いがなぜそう考えているのかを知る。何が怖くて、何が不安で、どんな未来を望むのかを語り合うことが必要なのだと思う。そのためには、知る努力をしなければならない。日々のニュースを消費的に見るだけでなく、そこからアンテナを広げて、自分なりの考えを持てるようになりたいと思う。

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  1. DIME:外交(Diplomacy)、情報(Intelligence)、軍事(Military)、経済(Economy)の頭文字をとった略語。技術(Technology)を加えて「DIMET」と呼ばれることもある。 ↩︎