はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

はじめてのスピノザ 自由へのエチカ

2026年5月4日

【タイトル】

『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』國分功一郎,講談社,2020

【テーマ】

これまでの常識を覆し、本当の「自由」とは何かをスピノザの哲学から学ぶ

【なぜこの本を読んだか】

YouTubeで勅使河原真衣さんが組織論を考えるうえでのおすすめ図書として『エチカ』を紹介していたため。いきなり原典を読むのは敷居が高いと感じ、まずは入門書として本書を手に取った。

【学んだこと】

  • 善悪は「組み合わせ」で決まる:すべての個体はそれぞれに完全であり、善悪はその個体自体にあるのではなく、組み合わせによって決まる。仕事がうまくまわらないのはその人が悪いのではなく、その人と仕事内容の組み合わせの問題かもしれない。そう考えると、柔軟な対処の可能性が広がる。
  • 「コナトゥス(力)」と真の自由:すべての個体にはコナトゥス(自分の存在を維持しようとする力)が備わっている。組み合わせがうまくいくとコナトゥスが働き、活動能力が増す。スピノザにとっての自由とは、何にも縛られないことではなく、自分の本性に従って力を発揮できている状態のこと。それが一人ひとりで実現されることが、社会の安定につながる。
  • 「自由な意志」は存在しない:自由な意志は存在しない。何ものからも影響を受けない意志はなく、意識は万能ではない。それにもかかわらず、すべてを意志の問題とする現代社会の発想は、むしろ人を不自由にしている。

【視点の変化】

自由とは何にも縛られないことだと思っていた。しかしスピノザを読んで、与えられた条件のもとで自分の力を発揮できることが自由なのだと捉えるようになった。

【感想】

何かうまくいかないとき、個人の能力や物の性能に問題があると考えがちだったが、「組み合わせが悪いのでは?」と視点を変えるだけで、見える世界が変わってくる。また、「強い意志さえあれば何でもできる」というマッチョな捉え方もしがちだが、それがかえって自分を縛り付け、本来の力を発揮できなくする「不自由さ」を生んでいるのかもしれない。本書を読んで、そんなことを考えるようになった。