児童文学を英語で読む

児童文学を英語で読む

【タイトル】

『児童文学を英語で読む』百々佑利子,岩波書店,1998

【テーマ】

『不思議の国のアリス』『クマのプーさん』『ゲド戦記』など、英語圏を代表する児童文学30篇の原文に触れ、翻訳では得られない言葉の手触りを鑑賞しながら、作品の世界をより深く味わうこと

【なぜこの本を読んだか】

もうすぐ閉店する古本屋で偶然見つけて、「児童文学を英語で読む」という切り口がおもしろいなと思ったから。1998年発行の古い新書だが、今も読みつがれる名作や、自分が小学生の頃に読んだ物語がいくつも紹介されていて懐かしくなった。

【学んだこと】

  • 『宝島』や『秘密の花園』など、タイトルは知っているが読んだことはない名作がたくさんある
  • 英語の文章にもその人特有のリズムや言い回しがあることに気がついた
  • 古典から新しい作品まで順に読むと、人種差別や戦争など当時の現実が物語に映し出され、児童文学を通して歴史の変遷を感じ取れる

【視点の変化】

これまで教科書にあるような整然とした英語にしか触れてこなかったため、文体やリズムの違いに意識が向くことがなかった。しかし、日本語の物語に作家ごとの個性があるように、英語の物語にも書き手によって異なる独特の響きや手触りがあるとわかり、目からウロコが落ちたような気持ちになった。

【感想】

タイトルを見て、児童文学を英語で読んでみるときの指南書のようなものを想像して手に取ってみたのだけれど、実際読んでみると全然違った。本書は、物語をこよなく愛する著者が、誰もが名前を聞いたことがあるような古典的な名作から90年代の新しめの作品まで、原文を引用しながらあたたかいまなざしで紹介するガイドブックだ。

『クリスマス・キャロル』や『ピーター・パン』など数々の名作が並ぶなかで、一番心に残っているのは『赤毛のアン』の章。特に、「モンゴメリもアンも,物語ることが人生という戦いの武器でした.このように,だれもが,幸せのもとを1つは持っています.だれにも,幸せになる独自の可能性があるのだから,他者の人生を奪ったり,他者の人生の幸せ度を自分のものさしで計るのは,深い罪であるといえるのです.」という著者の言葉にグッときた。こんなふうに紹介されたら、読んでみたくなる人もたくさんいるだろうと思う。

また、『クローディアの秘密』や『ライオンと魔女』など、子どもの頃から好きだった作品がある一方で、『宝島』や『秘密の花園』など読んだことがない名作もいくつかあった。最近、古典作品に少し興味をもちはじめていたところだったので、児童文学の古典にあたってみるのもいいかもしれない。そして、自分が好きな作品の原書に触れるということにも、いつかぜひ挑戦してみたいと思う。