【タイトル】
『炎上で世論はつくられる——民主主義を揺るがすメカニズム』山口真一,筑摩書房,2026
【テーマ】
急速に進むネットと政治の融合が民主主義をどう変容させているのかを解き明かし、炎上やフェイク情報、SNSの暴力といったネット社会の課題に対して私たちがいかに対峙していくべきかを考えること
【なぜこの本を読んだか】
- 『認知戦 悪意のSNS戦略』や『世界の力関係がわかる本—帝国・大戦・核抑止』を読み、情報操作が行われる仕組みや実態への興味が高まっていたため
- 書店で目次を確認したとき、第4章「規制で解決できるのか?——情報流通の社会的枠組みを問い直す」というタイトルが目に入り、具体的な解決策が提示されているのではと期待して手に取った
【学んだこと】
- 民主主義はフェイク情報に弱い制度である
- 陰謀論は誰もが信じる可能性があり、「自分だけは大丈夫」という考えが最も危険である
- 情報流通プラットフォーム法の制定により、誹謗中傷やフェイク情報への対応が以前より迅速に行われるようになった
【視点の変化】
- 日本はフェイク情報に弱い環境にあり、自分自身も騙されやすいと自覚しておくことが大切だと思うようになった
- 規制を強化すれば解決できると考えていたが、それは表現の自由を狭めることにもつながると気づき、バランスを意識しながら考え続けることが必要だと考えるようになった
- ファクトチェックの重要性を改めて認識した
【感想】
内容が難しいとか、言い回しがわかりにくいとか、そういうことは一切なく、どちらかというと読みやすい文章だったんだけれど、最後まで肌に合わない感覚が拭えなかった。なんていうんだろうな、レジュメなしの講義を聞いている感じがするというか。先生の頭の中には全体像が見えていて、順序立てて話しているんだろうけれど、聞いているほうはただゆらゆらと流されて、気づいたら授業が終わっていた、みたいな感覚だった。客観的に整理された論述というより、著者自身の研究データをもとにした主張が繰り返し提示される印象が強く、系統立てて説明された本を読みたかった初心者としては、少し残念だった。
ただ、決して内容を否定したいわけではない。勉強になったこと、考えを改めたこともたくさんある。特に、陰謀論について「自分も騙されるかもしれないという謙虚さが欠かせない」との指摘には深く共感した。テーマへの関心は変わらず強いので、時間をおいて読み返してみるのもいいかもしれないなと思う。


